JTBコミュニケーションデザイン エリアマネジメント

お問い
合わせ

観光案内所とは?役割と受入環境を整備するポイントを解説

インバウンドが回復し外国人旅行客が急増する中、旅ナカのタッチポイントである観光案内所の重要性は、ますます高まっています。

しかし中には、観光案内所に対して「そもそも何をするところ?」「どんな役割があるの?」など疑問を持っている方もいるかもしれません。

この記事では、観光案内所に役割や期待される価値、現状課題、運営のポイントについて、詳しくご紹介します。

観光案内所(ツーリストインフォメーションセンター)とは

観光案内所は観光地や空港、駅などに設置される地域と旅行者をつなぐ拠点です。ここでは、日本における観光案内所のサービスを紹介します。

日本における観光案内所

観光案内所(ツーリストインフォメーションセンター)とは、地域を訪れた旅行者に情報提供を行い、観光を楽しんでもらうためのサポートを行う施設です。

近年、外国人旅行者へ向けた観光案内所も増えており、日本政府観光局(JNTO)では、満足度の向上や周遊促進を軸にした認定制度を設けています。

 

カテゴリ 解説
カテゴリー3 常時英語による対応が可能で、英語以外にも2言語以上での案内が常時可能となっている。原則年中無休で全国レベルの観光案内を提供し、Wi-Fi環境もある
カテゴリー2 英語で対応可能なスタッフが常駐し、広域の案内に対応し、ビデオ通話による案内に対応している。
カテゴリー1 常駐でなくとも何らかの方法で英語対応可能で、地域の案内を提供している。
パートナー施設

観光案内を専業としない施設でも、外国人旅行者を積極的に受け入れる意欲があり、公平・中立な立場で地域の案内を提供している。

 

JNTO認定の外国人観光案内所は2023年3月末の時点で1,510か所あり、立地や規模、設置目的等によって提供されるサービスはさまざまです。

 

 

観光案内所のサービス

観光案内所では、観光名所や交通機関、お土産情報、グルメなど、旅行を楽しむためのさまざまな情報を多言語で提供しています。

対面でのサービスが一般的ですが、電話や書面による旅行者からの問い合わせへの対応から、パンフレット等の提供、SNSでの情報発信、チャットボットやアバターでの案内提供など、観光情報の提供手法は多岐にわたります。

さらに地域の観光ツアーやチケット、宿泊施設の予約サービス、展示や文化体験、地域の土産物販売などを行っているところもあります。

観光案内所の役割

多岐に渡るサービスを提供する観光案内所ですが、旅行客に対してだけでなく、地域に対しても重要な役割を担っています。
ここでは、
観光案内所が果たす役割を旅行者目線と地域目線で紹介します。

 

旅行者に対する観光案内所の役割

旅行者にとって、観光案内所は、観光を快適に楽しむための情報を得られたり、支援を受けられたりする場所です。

 

個人や少人数での旅行スタイルが増えた昨今、SNSの普及も相まって、インターネットで情報を集め自身でプランを立てる旅行客が多くいます。
しかし、信憑性や情報を選ぶ難しさなど、インターネットでの情報収集にハードルを感じている方も少なくありません。
一方、観光案内所では、多言語を話す”人”との対話を通じてニーズにマッチした情報やサービスを提供してくれます。
また、住民との交流や展示の鑑賞等を通じて、その地ならではの魅力に触れることができます。
更には「落とし物をした」「道に迷った」などの困りごとや、体調不良時、災害時に駆け込めるセーフティーネットとしても機能します。

 

 

地域に対する観光案内所の役割

地域にとって、観光案内所は、地域観光の最前線として魅力を旅行者に伝え、回遊を促していくための情報発信拠点です。

 

観光スポットや季節行事、ご当地グルメ、伝統工芸など、地域独自の情報を魅力的に紹介することが、旅行者が目的地だけでなく、もう1カ所、もう1時間、地域を滞在する”回遊”のきっかけになります。
回遊を通じて、消費拡大や地域のファンを増やすことができれば、地域経済の活性化やサステナブルな観光推進に繋がります。
また、旅行者とのコミュニケーションを通じて得た情報は、地域にとって重要な観光データとなります。トレンドやニーズを踏まえた新たなサービスを生み出すなど、有効なマーケティング活動を行うことが可能になります。

 

観光案内所のトレンド

観光案内所に求められる役割や課題は、時代と共に変化しています。

ここでは、観光案内所のトレンドを紹介します。

旅行者の増加・ニーズの変化

コロナ禍によって休業・閉鎖を余儀なくされた観光案内所もありましたが、インバウンドが回復する今、各地の開発・交通網の充実も伴って施設の整備が進んでいます。

また、旅行者の増加やスマートフォンの普及もあって、旅行者を巡る状況も以前に比べて大きく変化し、観光案内所に求められるサービスも変化しています。

例えば、世界的にキャッシュレス化が進んでいることや買い物の利便性向上のために、キャッシュレス対応は欠かせません。
デジタル化が進んでいるため、紙パンフレットの提供からデジタルパンフレットやアプリ、翻訳ツールやAIの導入を行う観光案内所も増えています。
さらに、近年は環境問題や地域問題がピックアップされることもあり、サステナブルな旅行をしたいと考える旅行者も多い特徴があります。
このようなニーズに応えるために、観光案内所は地域と旅行者との架け橋となり、適切なサービスや情報の提供を行うことが重要です。

観光案内所の課題

観光案内所は、持続可能な観光や旅行者受入環境の一助を担うことが期待されている一方で、さまざまな課題も抱えています。

ここでは、観光案内所の課題を紹介します。

収益力の向上・収益源の確保

観光案内所の運営は、地方自治体や観光関連の外郭団体をはじめ、交通や宿泊施設の民間事業者など、主体も形態も多種多様です。
しかし、多くの主体が運営費用=収益源の確保には頭を悩ませており、収益力の向上は大きな課題となっています。
ツアーコンテンツの開発や商品販売、カフェ展開など、より高付加価値な有料サービスの導入を検討し、持続可能な運営を目指していく必要があります。

集客・プロモーション

観光案内所として、より多くの旅行客に地域の魅力を伝え、まちへの来訪や施設を利用してもらうためには、PRやプロモーションは欠かせません。
現在はホームページやSNSを中心に情報発信を行う施設が半数以上ですが、動画コンテンツやICTツールを活用したアプローチや、地域事業者と連携した独自イベントなどによるコミュニケーションなど、幅広い仕掛けで周知を図っていくことが必要です。

地域・観光案内所との連携

地域事業者や団体・観光案内所間での連携も課題の一つです。

地域との連携によって、地域独自の旬な情報・体験を提供することが可能となるほか、地域内での相互送客につながります。

また、力を合わせて地元の観光を盛り上げていくことで、観光客の受入環境が整い経済の発展を期待できることから、地域連携は不可欠な取組みと言えます。

しかし現状は地域内や隣接地域での連携がほとんどで、広域的な連携はあまり進んでいません。

人材採用・確保、育成・教育

インバウンドの回復に伴い観光案内所の需要増加が見込まれる一方で、観光産業は人材不足に陥っており、観光案内所においてもこの人材採用が深刻な課題です。

観光案内所で働く人材には、観光地に関する豊富な知識や一定の語学力、きめ細やかな接遇力、ニーズを汲み取るコミュニケーション能力など専門的なスキルが求められるため、採用はもとより育成には、時間がかかります。
多くの観光案内所が安定的な
人材基盤の構築、同時に業務システムの導入やAIツールの併用など、解決策を模索しています。

観光案内所を整備・運営するポイント

旅行客に対しても地域に対しても、多様な役割を担う観光案内所。
効率的且つ効果的な運営につながるポイントを、ハード面とソフト面の両視点からご紹介します。

ハード面

ハード面で観光案内所を整備する際のポイントとしては、快適な環境・空間づくりや設備・システムの導入などが挙げられます。

快適な環境や空間づくり

魅力的な観光案内所として、展示や地域のイメージに合った内装デザイン等はもとより、旅行者が休憩できるスペースやユニバーサルデザイン等、旅行者を受け入れる場としての視点が必要です。

設備やシステムの導入

旅行客の利便性を高めるだけでなく、前述の課題にある業務の効率化や人材配置の最適化を図ることができます。

例えば、下記のような設備やシステムです。

  •  ・リモート接客システム
  •  ・多言語翻訳システム機器
  •  ・多言語音声ガイドシステム
  •  ・AIチャットボット

このような設備やシステムを導入することで、従来の人の手による業務が効率化され、他の業務に集中できるメリットもあります。

 

ソフト面

最良のサービスを安定的に提供するため、業務基盤をしっかりと整備することが重要です。

提供サービスの整備

地域や立地などの施設ごとの特性に合わせた提供サービスを明確化。PDCAサイクルのもとに運用することで継続的に業務改善を図り、サービスの向上を目指します。

人材・教育の体系化

接遇をはじめ、業務の質向上につながる各種研修を実施。継続的にサービスの水準を向上するとともに、複雑なニーズへの臨機応変な対応や、ホスピタリティなど、旅行者の満足度を高めます。

活発な広報活動

SNSや独自イベントなどを通じて、観光案内所ならではの目線で、地域の魅力や施設の情報を発信。より多くの旅行客へ周知を図り、来訪を促します。

まとめ

この記事では、観光案内所の役割や受入環境を整備するポイントを紹介しました。
観光案内所は旅行者に情報提供を行い、観光を楽しんでもらうための情報提供やサポートを行う施設です。
旅行者にとっては旅行を快適に楽しめるメリットがあり、地域にとっては経済の活性化につながるメリットがあります。
一方で、観光案内所の運営にはコストがかかることや人材問題、集客・プロモーションに専門的な知識が必要など課題も少なくありません。
また、安定した運営を行うためには人材管理や会計管理などのインフラ整備も必要となるため、対策として外部委託や支援を受ける方法もあります。

 

観光案内所の開設や運営をお考えの際には、観光案名所のプロフェッショナルであるJTBコミュニケーションデザインにお任せください。

私たちは、管理運営をはじめ、調査、開設、運営コンサルティングなど多様な関わり方で、またマーケティングプロモーション、コンテンツ開発、地域・事業者協働等、多岐に渡るソリューションを組合せ、数多くの観光事業の実績を有しています。

観光案内をベースに様々なサービスやスキルをプラスして、旅行客からも地域からも永く愛され頼りにされる施設づくりを、強力にサポートします。

まずは、お気軽にお問い合わせください

関連資料
関連記事

関連記事