外国人観光客を集客するための受入環境整備とは?プロモーションの方法を紹介
新型コロナウイルス対策による入国制限の緩和や円安の影響もあり、日本に訪れる外国人観光客は増加しています。
また、外国人観光客のことはインバウンドとも呼び、日本の観光業にとって重要な市場であることから、外国人観光客集客や施策が注目されています。
一方、「集客といっても何をしたらいいのかわからない」「受入環境ができていない」など、対応に悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
集客のチャンスを逃さないためにも、効果的なプロモーション方法や必要な環境整備について正しく理解しておく必要があります。
この記事では、外国人観光客を集客するための受入環境整備やプロモーションの方法を紹介します。
外国人観光客の集客(インバウンド集客)が注目される背景
外国人観光客が増えることによって、地方活性化や高い経済効果など、さまざまなメリットが期待できます。
ここでは、外国人観光客の集客が注目される背景を紹介します。
人口減少によるマーケット縮小への対策
外国人観光客の集客が注目されている背景に、日本の人口減少によるマーケット縮小への対策が挙げられます。
総務省統計局によると2011年から日本の総人口は減り続け、減少幅も年々拡大傾向にあり、今後もこの傾向が続くと想定されています。
人口減少に歯止めがかからない状況下では、国内の日本人だけをターゲットにしていると事業の存続 は厳しくなっていくでしょう。
一方、国際連合広報センターによると世界人口は増加の一途を辿っており、2030年までに85億人、2050年には97億人に増加すると予測されています。
そのため、外国人観光客に力を入れてマーケットを拡大していくことで、ビジネスチャンスや事業の拡大にもつながるでしょう。
国がインバウンド回復戦略を推進しているため
国がインバウンド回復戦略を推進していることも、外国人観光客の集客が注目されている理由です。
2023年5月31日に閣議決定した「観光立国推進基本計画」に盛り込まれている戦略の中に、インバウンド回復があります。
それに基づき、観光庁では訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進や戦略的な訪日プロモーションの実施など、さまざまな対策支援を行っています。
このように国がインバウンド回復戦略を推進し、さまざまな取り組みを行っているため、外国人観光客の集客に力を入れるには最適なタイミングといえるでしょう。
外国人観光客を増やす取り組み・プロモーション方法
外国人観光客を集客するためには、プロモーションや取り組みを通じて、観光スポットや商品、サービス、地域を知ってもらうことが大切です。
ここでは、外国人観光客を増やす取り組みについて解説します。
海外向けコンテンツの制作
外国人観光客を集客する方法として、海外向けコンテンツの制作を行い、観光スポットや地域を知ってもらうことが挙げられます。
具体的には、Webサイトや映像制作、雑誌、SNSなどが挙げられ、ターゲットとなる国の特性に合わせたプロモーションが必要となります。
また、海外現地で多くのユーザーにアプローチできる広告やメディア活用も集客方法として有効です。
なお、日本人向けコンテンツを翻訳しただけのコンテンツでは十分に魅力が伝わらない可能性があるため、外国人観光客向けに制作する必要があります。
海外向けコンテンツの制作にはターゲット調査や分析などが必要になるため、専門の会社に依頼して進めることをおすすめします。
海外現地向けのイベントや展示会
海外現地向けのイベントや展示会に参加し、地域に興味を持ってもらうきっかけを作ることも外国人観光客を集客する方法として有効です。
具体的には、インバウンドを目的とした食やアート、旅行イベントの開催や、各国の主要な旅行博覧会へのブース出展などが挙げられます。
イベントや展示会に参加するメリットは、現地の人に観光スポットやグルメなどの魅力を直接訴求できることです。
一方で、多国籍の参加が見込まれる場合は多言語に対応できる体制を作っておくことや、ターゲットを設定しておくなどの事前対応も必要となります。
招請旅行によるプロモーション
外国人観光客を集客する方法として、現地メディアや旅行会社に地域や観光を体験してもらう招請旅行も効果的です。
招請旅行で観光プログラムを実際に体験してもらうことで、訪日旅行商品の造成や販売強化を促す効果が期待できます。
また、影響力が大きいインフルエンサーを招請し、SNSで情報発信してプロモーションするのも効果的な施策です。
国内の訪日外国人へのアプローチ
国内の訪日外国人へのアプローチも、外国人観光客を集客する施策となります。
アプローチの方法として、滞在中の外国人に対して観光地やグルメに関する広告を流す『旅ナカ広告』が有効です。
旅ナカ広告では、次に行く場所が決まっていない旅行者に向けて効果的な配信を行うことができます。
例えば、外国人旅行者が東京に着いた際に行き先が決まっていない場合、周辺の観光スポットやグルメの広告を配信することで集客につながるというものです。
このように日本に来てもらうだけでなく、訪日中の外国人向けにアプローチすることで集客につながる場合もあります。
外国人観光客の集客に必要な受入環境整備(ハード面)の例
外国人観光客の集客はプロモーションだけでなく、受入環境整備を行って観光しやすい状況を作ることも大切です。
ここでは、外国人観光客の集客に必要な受入環境整備の例を紹介します。
観光スポットの多言語化
外国人観光客が安心して観光を楽しむためには、観光スポットの多言語対応が重要な施策となります。
多言語対応するメリットは、外国人観光客の満足度や客単価の向上や、それによって新たな集客につながることです。
例えば、レストランで食事をする際にメニューに記載されている言語がわからなければ、どのような食材が使われているか判断できません。
アレルギーや宗教上の理由で食べられるかどうかが判断できず、知っている単語で構成されているメニューを注文することになります。
しかし、メニューが多言語対応されると料理の詳細が分かり、注文できるメニューの幅も広がるため、満足度の向上につながるというものです。
このような経験や体験をSNSやブログ等で発信してもらえると、それを見た他の外国人の候補になり、新たな集客につながることもあります。
また、案内看板やパンフレットなどの文章を多言語対応する場合だと、日本語をそのまま翻訳するだけでは通じにくい場合もあるため注意が必要です。
多言語対応させる場合は、専門家に依頼して細かいニュアンスを調整する必要があります。
無料Wi-Fiの整備
外国人観光客の満足度を向上させるためには、無料Wi-Fiを整備し、インターネットに不自由さを感じない環境を作る必要もあります。
外国人観光客が日本国内でインターネットを使用する場合、日本の通信回線が使用できるSIMやポケットWi-Fiをレンタルするのが一般的です。
使用できる通信量に限度があったり、旅行で何かと費用がかかったりするため、無料Wi-Fiを整備していると重宝されます。
また、無料Wi-Fiはインターネットの利便性を向上するだけでなく、SNSの利用を促してお店や観光地のプロモーションにもつながるでしょう。
例えば、観光地で食べ歩きできるグルメを購入した場合、無料Wi-Fiがあれば気軽に「この瞬間」をSNSに投稿できます。
しかし、インターネットの都合でSNSへの投稿機会を失うと、拡散されるはずだった情報が広がらず、プロモーションの機会を逃すことになります。
キャッシュレス化
外国人観光客の集客を促すためには、気軽に買い物やサービスを利用できるようにキャッシュレス化の環境を整えることも大切です。
世界各国ではキャッシュレス化が進んでいることから、現金の支払いに不便さを感じている外国人観光客は多くいます。
キャッシュレスに対応していないことで現金を用意させる手間をかけたり、訪問をやめるきっかけにつながったりする可能性もあるでしょう。
そのため、キャッシュレス決済に対応できるように環境を整えることが大切です。
キャッシュレス決済の方法としては、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどが広く使用されています。
ただし、国によって主要なキャッシュレス決済の手段は異なっているため、ターゲットに合わせた対応も必要です。
AIチャットボットの導入
外国人観光客の受入環境整備の手段として、AIチャットボットを導入するケースが増えています。
AIチャットボットとは、データやログをもとに自己学習したAIが質問に対してリアルタイムで回答するプログラムのことです。
観光業界においては、空港やホテルの予約、観光案内、言語翻訳などの業務に使用されており、利用者の満足度向上が期待されます。
また、外国人観光客の集客を行うお店にとっては、人手不足の解消や生産性向上の効果が見込めるでしょう。
さらに、AIチャットボットに蓄積される大量のデータは、マーケティングや業務効率化などの活用も期待できます。
ゴミ箱の整備
外国人観光客の受入環境整備として、ゴミ箱の整備を行い、ゴミの処理がしやすい状況を作ることが挙げられます。
外国人観光客の増加に伴って観光地で問題となっているのがゴミ問題で、その原因となっているのがゴミ箱の少なさです。
しかし、単にゴミ箱を増やせば良いという話ではなく、ゴミの処理費用も現地の人にとっては大きな問題となっています。
そこで注目されているのが、ICTを活用したゴミ箱です。
例えば、大阪の道頓堀に設置されているスマートごみ箱は、ごみの蓄積状況をクラウドでリアルタイムに把握できます。
また、内部でゴミの圧縮することで回収頻度を減らし、さらに満杯になる前に通知される機能も搭載されています。
ゴミ箱が整備されると外国人観光客もゴミを気にする必要がなくなり、食べ歩きのようにゴミが発生する商品も購入しやすくなります。
ワーケーション環境の整備
外国人観光客の中には、テレワークを利用して働きながら観光に来ているケースもあるため、ワーケーションしやすい環境を整えることも大切です。
ワーケーションは、『ワーク=仕事』と 『バケーション=休暇』を組み合わせた造語で、観光地で働きながら余暇を楽しむことをいいます。
ワーケーション環境を整えるためには、快適に仕事ができるように無料Wi-Fiの整備やセキュリティ対策などが不可欠です。
また、長期滞在になる場合はスーパーやコンビニ、コインランドリーなどの生活に関するサービスも必要になります。
このような層をターゲットにワーケーション環境を整えることで、新しい需要が生まれて集客にもつながるでしょう。
外国人観光案内所の整備・改良
外国人観光客の受入環境を整える方法の一つに、観光案内所の整備や改良が挙げられます。
外国人観光案内所は、外国人観光客に地域の魅力を直接伝えたり、トラブル・困りごとに対応したりする場所です。
これらのサービスを通して消費額の拡大やリピーターの増加、持続可能な観光の推進につながるメリットがあります。
具体的な改良策として、多言語化案内用タブレット端末やシステム機器の導入、スタッフ研修などが挙げられます。
外国人観光案内所の整備においては多言語対応し、外国人にもわかりやすい情報を提供できる体制を作ることが大切です。
まとめ
この記事では、外国人観光客を集客するための受入環境整備やプロモーションの方法を紹介しました。
コロナの規制緩和や円安に加え、国が行っているインバウンド回復戦略の推進もあって今後も外国人観光客の増加が見込まれます。
人口減少に歯止めがかからない日本ではマーケットの縮小が予想されるため、長期的に安定な売上を維持するためにも外国人観光客の集客は重要です。
JTBコミュニケーションデザインでは、集客プロモーションやコンテンツ開発、観光案内所運営など、さまざまな外国人観光客の集客支援を行っています。
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