シティプロモーションとは?目的やメリット、成功のポイントを紹介
シティプロモーションは、地方創生や地域活性化を目的に世界の都市でも進められている施策の一つです。
SDGsに関わる取り組みとしても高い関心が寄せられており、人口減少の問題を抱える先進国でも広く普及しています。
日本においても、持続可能なまちづくりのために、地域の魅力を地域内外に発信するなどのシティプロモーションに力を入れている自治体は多いです。
一方、シティプロモーションを始めようと考えていても、「何から手をつけたらいいのか」「どうしたら上手くいくのか」などと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、シティプロモーションの目的やメリット、方法、成功させるためのポイントについて詳しく紹介します。
シティプロモーションとは
シティプロモーションとは、地域活性化を促し、自治体の経済基盤を維持するためのさまざまな取り組みの総称です。
シティプロモーションには地域再生や観光振興、住民協働など、さまざまな概念と捉え方があります。
自治体による広報活動や営業活動とイメージするとわかりやすく、自らの地域のイメージを高め、経営資源の獲得を目指すための活動といえるでしょう。
日本では少子高齢化の問題があり、多くの自治体で人口減少が続いている現状があります。
人口減少は自治体の経済力の低下にもつながるため、これを防ぐために始められたのがシティプロモーションです。
シティプロモーションの目的・メリット
シティプロモーションは、自治体を維持していくためにいまや欠かせない取り組みとなっています。ここでは、シティプロモーションを行う目的やメリットを紹介します。
地域イメージの向上を図る
シティプロモーションの1つの効果として、ブランディングによって地域イメージの向上につなげることが挙げられます。
「〇〇市といえば〇〇が美味しい」「〇〇町といえば〇〇の祭りが有名」といったイメージを確立できれば、認知度の向上を図ることができます。
シティプロモーションでは、その地域の強みとなる魅力を発信するため、まずは地域イメージを作り上げていくことが重要です。
関係人口の増加
シティプロモーションには、地域の魅力の創造やブラッシュアップを図り、効果的に発 信することで関係人口を増加させるメリットもあります。
関係人口とは、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。その地域に親族が住んでいたり、仕事で訪れたり、プライベートで短期滞在しているなど、何らかの理由で複数回もしくは継続的に訪れたことがある人を指します。
関係人口が増えると地域の経済活動が活発になり、お店の売り上げや雇用機会の増加が期待できます。
また、関係人口が地域活動やプロジェクトに参加して地域の担い手になると、後継者や労働者不足の解消にもつながるでしょう。
観光客の誘致促進
シティプロモーションには、観光客の誘致促進を図り、地域の観光産業の活発化やそれ に関係する領域での雇用創出につなげる効果があります。
観光客が増えて地域経済が活性化されると、自治体としても税収が増加し、サービスの質を高めることができるでしょう。
観光客の誘致促進のためには、地域の魅力を発信するコンテンツや伝統行事をはじめとする地域ならではの価値を伝えるイベントなどが効果的です。
また、動画やSNSも活用した様々なコミュニケーションでターゲットとなるユーザーの認知・関心を集め、それから誘致促進へつなげることも方法の一つです。
移住者・定住者の増加
シティプロモーションの効果として、移住者・定住者を増やすことも挙げられます。
ライフスタイルや価値観の多様化から、都市圏で生活している人のなかには、「自然や地域とのつながりに憧れる」「リラックスしながら生活したい」という方もいます。
このような方々の移住先として選んでもらうためには、シティプロモーションが有効です。
シティプロモーションを通して移住者が増えると、税収の増加や民間企業、地場産業の成長にもつながるでしょう。
UターンやIターンの増加
UターンやIターンを促す方法としても、シティプロモーションは効果的です。
- ●Uターン:地方で生まれ育った人が都市部で働いたあと出身地に戻って就職すること
- ●Iターン:出身地とは別の地方に移住して就職すること
UターンやIターンが増えることで、企業の人手不足の解消や伝統技術の継承、地域活性 につながるメリットがあります。
シティプロモーションがUターンやIターンの増加につながるのは、地方での暮らしを検討している方に対し、地方での生活に魅力を感じるきっかけを与えるためです。
また、住んでいた地域への愛着を再認識させることでUターンにつながる場合もあります。
ふるさと納税の納税額をアップさせる
ふるさと納税の納税額をアップし、自治体の税収を増やすうえでもシティプロモーションは効果的です。
シティプロモーションを通して、地域の特産物や魅力を地域内外に発信することで、ふるさと納税のきっかけを与えることにつながります。
また、返礼品に関連のある仕事に従事している方にとっては、自分の商品を多くの人に知ってもらうきっかけにもなるでしょう。
シティプロモーションの方法
シティプロモーションにはさまざまな手法があり、時代とともに変化しています。ここでは、シティプロモーションの方法を紹介します。
メディア活用
シティプロモーションにおいて、不特定多数の人に情報発信できるメディアは有効な方法です。
● テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス4媒体やWeb広告、イベントなどのスポンサーシップなどのペイドメディア
● ブログ、口コミサイト、SNS、掲示板などで情報発信するアーンドメディア
● SNS、動画共有サイト、口コミサイトなど情報の共有によるシェアードメディア
● 自治体や施設が保有するメディアを使ったオウンドメディア
シティプロモーションを進めるにあたって、自治体のWebサイトやSNSアカウントを用意して地域の魅力を発信すると、多くの人の目に留まり認知度の向上が期待できます。
また、最近では動画サイトで地域の魅力をアピールしたコンテンツを展開し、来訪者を集める自治体も多いです。
ただし、Webを活用したシティプロモーションは多くの自治体が取り組んでいるため、効果を得るためには独自性や専門的な知識が必要となります。
これらのメディアを組み合わせて、認知・興味関心の醸成と行動のきっかけをつくることをそれぞれの機能を踏まえながら実施することが重要です。
MICE
近年、シティプロモーションの手法として注目されているのがMICEです。
MICEとは、企業や団体が開催している会議や研修旅行、展示会、国際会議などのビジネスイベントのことで、以下の4つの頭文字を取っています。
- M:Meeting(企業会議・研修)
- I:Incentive Travel(報奨・研修旅行)
- C:Convention(政府主催会議・学術会議・業界会議)
- E:Exhibition/Event(展示会・見本市・イベント)
MICE開催を通じた主催者・出展者・参加者の消費支出は、開催地を中心に大きな経済効果をもたらします。
また、地域ならではの魅力に触れる場所を通じて、魅力を体験する機会を創出し、MICEで訪れるビジネスパーソンの呼び込みに成功すると、定期的な来訪者の獲得にもつながるでしょう。
アンテナショップの設置
シティプロモーションの方法としては、アンテナショップの設置も効果的です。
アンテナショップとは、企業の商品や自治体の特産品、伝統工芸品などを試験的に販売し、認知度の向上や消費者の反応、トレンドを探ることを目的とした店舗です。
実験的な商品展開を行っており、情報の受信や発信を目的にしているという理由でアンテナショップと呼ばれています。
地域の特産品を目にする機会が増えることで、ブランディング向上が期待できるでしょう。
その地域を知りたい来訪者にとっても、さまざまな特産品が置かれているアンテナショップは魅力的です。
またアンテナショップは販売としての機能だけでなく、施設を起点に、様々なイベントの開催とそれを通じた地域コミュニティづくりをおこなうことで、地域愛の醸成、地域と関わる機会を創出にもつなげることができます。
シティプロモーションを成功させるポイント
シティプロモーションを成功させるためには、目標やターゲット設定をはじめ、効果的なプロモーション戦略・コミュニケーション戦略の立案が欠かせません。
ここでは、シティプロモーションを成功させるポイントを紹介します。
目標を明確にする
シティプロモーションを成功させるためには、目標やゴールを明確に設定することが大切です。
地域によって抱える課題や資源、特徴は異なるため、シティプロモーションの目標もそれぞれの自治体で変わってきます。
「特産品を販売したいのか」「観光客を増やしたいのか」「移住者を増やしたいのか」など、達成したい目標を設定しましょう。
達成すべき目標が複数あっても、目標によってアプローチが異なるため、優先順位を決めて一つひとつクリアしていくことが大切です。
ターゲットを特定する
シティプロモーションでは、ターゲットを特定することも大切です。
例えば、子育てに力を入れている自治体なら子育て世代の移住、観光資源を活用したいなら観光客の増加がターゲットや目標になります。
特定においては明確化も重要です。性別・年齢・居住地域・所得・職業・家族構成などのデモグラフィックや、習慣・趣味・嗜好・価値観などのサイコグラフィックなどの観点で、適切と思われるターゲットを絞り込んでいきます。
ターゲットを明確にすることで、より効果的なプロモーション戦略・コミュニケーション戦略を立てることができます。
民間企業と連携する
シティプロモーションを進めていくためには、ノウハウが充実している民間企業との連携も効果的です。
シティプロモーションは自治体が中心となって進めていく施策ですが、自治体単独では地域ならではの価値やコンテンツを十分に提供できない、また必要な経験・ノウハウなどを保有していないところも多くあります。
提供価値やノウハウが不十分なままシティプロモーションを行うと、運用が困難になったり、思うような効果が出なかったりする場面も出てくるでしょう。
そのため、必要なコンテンツや経験・ノウハウが十分にある民間企業と連携し、足りていない部分を補ってもらうと効果的に進められます。
例えば、地域の飲食店と連携したイベントやマルシェを開催することで、食事を通して地域の特産品を知ってもらうことが可能です。
この場合だと、認知度・興味関心度の向上だけでなく、継続的な取組を行うことで食事が美味しい地域というブランドやイメージの定着を促すこともできます。
最適な情報発信ツールを選定する
シティプロモーションでは、目標やターゲットを考慮しつつ、地域の強みや特色を活かせる情報発信ツールの選定が重要になります。
情報発信ツールには広報誌やWebサイト、SNS、動画、広告などがありますが、それぞれのツールの強みや弱みを把握したうえで使い分けることが大切です。
また、情報発信は継続的に行う仕組み作りも必要となります。例えば、SNSの更新は1日に1回以上、プロモーション動画を地域のイベントごとに作成するなどです。
持続可能なプロモーション戦略・コミュニケーション戦略を実施する
シティプロモーションを一過性で終わらせないためにも、持続可能なプロモーション戦略、コミュニケーション戦略を実施しましょう。
地域のブランドイメージの構築や長期的な観光客の誘致、住民の定住などは、継続的な努力が必要となります。
また、持続可能なプロモーション戦略、コミュニケーション戦略には目標設定をはじめ、地域の魅力や価値をターゲットに合わせて発信していくことも重要です。
自治体の状況に合わせたシティプロモーション戦略、コミュニケーション戦略を立案し、地域の活性化や発展を目指しましょう。
まとめ
この記事では、シティプロモーションの目的やメリット、成功のポイントを紹介しました。
シティプロモーションは地域の内外に地域の魅力を発信し、ヒト・モノ・カネを呼び込み、地域経済の活性化につなげる活動です。
シティプロモーションにはさまざまな手法がありますが、地域の強みや特性、ターゲットに合わせたプロモーション・コミュニケーションが重要となります。
また、シティプロモーションが一過性にならないように、持続可能なプロモーション戦略、コミュニケーション戦略を実施することも大切で、そのためにはノウハウが必要となります。
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