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アドベンチャートラベルとは?導入のメリットや必要な要素を紹介

旅行を通じ、自分自身の変化や地域社会に貢献できるとして注目されているアドベンチャートラベル。

2023年9月には、日本の北海道でアドベンチャートラベルワールドサミットが開催され、世界的に注目度が高まっている旅行スタイルです。

アドベンチャートラベル旅行者は、一般の旅行者に比べると地域を深く知ろうという傾向にあり、経済効果が大きいと考えられています。

この記事では、アドベンチャートラベルの導入メリットや必要な要素などを紹介します。

アドベンチャートラベルとは

アドベンチャートラベルとは、地域での自然体験や異文化体験を通し、土地の自然や文化を知ることで自身の内面も変わっていくような旅行スタイルを指します。

ここでは、アドベンチャートラベルについて詳しく解説します。

アドベンチャートラベルの定義

アドベンチャートラベルは、世界最大の業界団体のATTAにより「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3要素のうち、2つ以上を組み合わせた旅行形態と定義されています。

ATTAは世界約100か国から1,400会員を擁する国際的なアドベンチャートラベル業界団体で、正式名称は「Adventure Travel Trade Association」です。

また、上記の要素に加えて以下の体験価値も提唱しています。

  • 今までにないユニークな体験
  • 自己変革
  • 健康であること
  • 挑戦
  • ローインパクト

アクティビティを通じて自然体験や異文化体験を行い、地域の人々と双方でコミュニケーションを図りながら土地の自然や文化を深く知り、自分自身の価値観が変わっていくような旅行がアドベンチャートラベルです。

日本はアドベンチャートラベルに適している

日本はアドベンチャートラベルに最適な国です。

その理由は、日本は深い森や海、川、山など自然に恵まれており、そこに暮らす野生動物や自然と結びついた多様な文化や歴史があるためです。

アドベンチャートラベルの体験価値を踏まえながら、地域の人々の暮らしを大切にしつつ、地域の資源を活かして魅力的な旅を作り出すことは、地域も旅行客も満足する持続可能な観光(サステナブルツーリズム)につながります。

アドベンチャートラベルを好む旅行客の層

国土交通省「地域の自然体験型観光コンテンツ充実に向けたナレッジ集」によると、アドベンチャートラベルを含む自然体験型コンテンツを好む層の特徴は以下の通りです。

  • その土地だけの特別な体験を楽しむことを求める
  • スリルとエキサイティングな体験を求める
  • 長期滞在型
  • 興味の対象範囲が広い
  • 団体旅行よりも個人手配が多くみられる

都市部より地方部に時間をかけて周遊する旅行慣れした旅行客が多く、土地固有の自然や文化などを総合的に体験したいと考えている旅行客が多いです。

アドベンチャートラベルのメリット

アドベンチャートラベルには、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、具体的なメリットを紹介します。

新しい客層を獲得できる

新しい旅行客層を獲得できることは、アドベンチャートラベルのメリットです。

アドベンチャートラベルを行う人は、自然や文化に触れ、新しい体験や感覚を得ることを期待しています。

このような期待に応えるアクティビティを創出することによって、これまで訪れていた旅行客層とは違った旅行客層を獲得できる可能性があります。

資源活用とサステナブルツーリズムの両立ができる

アドベンチャートラベルには、資源の活用とサステナブルツーリズムを両立できるメリットもあります。

もともとある自然や文化を体験することが目的の旅行であるため、大規模な観光スポットを開発する必要はありません。見せ方や伝え方を変えるだけで旅行客を取り込むことが可能です。

また、アドベンチャートラベルは自然や文化を大切にする旅行客も多くサステナブルに興味を持つ旅行者も多いため、自然や文化、地域住民に影響を与えるオーバーツーリズムが起こりにくい特徴 もあるといわれています。

そのため、観光や社会文化、経済の影響に配慮したサステナブルツーリズムとの相性もよく、環境への影響が少ないこともアドベンチャートラベルのメリットといえるでしょう。

地域に高い経済効果が期待できる

アドベンチャートラベルのメリットは、地域資源を経済資源に結びつけられることです。

その地域にしかない自然や文化にスポットを当て、ツアーパッケージ化することによって眠っている魅力を経済的な価値に変えることができます。

また、アドベンチャートラベルを好む層は地域の名産品や工芸品のみならず、そこに生活する人々の暮らしまで幅広く興味を持っていることも多いため、工夫次第でこれらも観光資源として活かせる可能性もあるでしょう。

アドベンチャートラベルに必要な要素

ここでは、アドベンチャートラベルの体験価値としてATTAが掲げる5つの要素を紹介します。

ユニークな体験

ユニークな体験とは、「これまでに味わったことがない」「この場所でしか味わうことができない」と感じるような独自性の高い体験を指します。

アドベンチャートラベルで定義されている「アクティビティ」「自然」「異文化体験」のうち、特に独自性の高い「異文化体験」はユニークな体験につながりやすい要素です。

異文化体験にその土地独自の自然やアクティビティを組み合わせることで、唯一無二のユニークな体験を提供できる可能性が高くなります。

挑戦

挑戦は、旅行客が身体的、もしくは心理的に挑戦したいと感じることを指します。

身体的な挑戦であれば川下りやトレイルなど、その土地の自然を活用したアクティビティが挙げられ、心理的な挑戦は食べたことのない食事を食べたり、陶器作りに挑戦したりなど文化に触れることが挙げられるでしょう。

いずれも挑戦して達成することに達成感や幸福感を感じます。

健康

健康は、アドベンチャートラベルを通して、身体的にも心理的にも健康になったと感じることを指します。

例えば、温泉に入って体の疲れを癒すことや、トレッキングでたくさん体を動かすことは身体的な健康につながります。

また、大自然の中に囲まれて過ごし、日々のストレスを解消することは心理的な健康につながるといえるでしょう。

自己変革

自己変革は、アドベンチャートラベルを通して自己の価値観が変化したり、世の中に対する感じ方が異なったりすることを指します。

例えば、自然に触れることによって自然への興味や探究心が強まったり、文化に触れることでその土地の宗教や成り立ちを知ったりもできます。

このような経験を通し、「自分はこうでありたい」「もっと広めたい」「こんな活動をしたい」などの自己変革につながることもあります。

自己変革をもたらすためには、その地に関するさまざまな自然や文化などの要素を細かく知ることが重要です。

また、それらをもとに自発的に考えたり行動に移したりを促すためには、旅をサポートするガイドの役割も大きいといえるでしょう。

ローインパクト

ローインパクトは、体験を通じて自然や文化に対しいかに影響を小さくするかを指します。

アドベンチャートラベルにおけるインパクトとは自然環境に与える「影響」のことであり、旅行を通して土地の自然や文化に悪影響を与えないようにしなければなりません。

例えば、旅行客が文化財に触れることで破損したり、ゴミを捨てたりすることは、自然環境に悪影響を与える行為です。

観光地に人が集中しないようなスケジュールを組むことや、ガイドやパンフレットなどを通して、旅行客自身にも自然や文化を守る意識を持ってもらうことが大切です。

アドベンチャートラベルの導入に必要なこと

アドベンチャートラベルには多くの魅力がありますが、その一方でアドベンチャートラベルに取り組むうえでいくつか必要なことがあります。ここでは、アドベンチャートラベルの取り組みにおいて必要なことを紹介します。

環境整備

アドベンチャートラベルでは、さまざまな環境整備が必要となります。

例えば、アドベンチャートラベルで利用する自然環境は所有者等の権利関係が複雑であることが多く、利用する文化財などの環境も、建物は個人や法人の所有であることも多いです。

そのため、関係者と交渉や調整を通じて信頼関係を築きながら、1つ1つの合意を経て環境整備をしていく必要があります。

また、アクセスも最寄り駅や宿泊施設からアクティビティを行う場所までの移動が必要となる場合を想定し、交通手段を確保しなければなりません。

食事や宿泊施設においても、地方の経験や文化体験になじむ、質の高い施設や食が必要であり、資源が豊富にあっても旅行客のニーズを満たすことができなければ、アドベンチャートラベルの誘致に至らないこともあります。

専門スキル

その土地独自のアドベンチャートラベルのツアーを造成 するためには、市場を正確に理解し、地方資源に付加価値をつけることが重要です。

専門スキルを有している専門家に頼る必要もあり、地方経済への還元や雇用促進など、多角的な視点を持っていることもポイントになります。

そのためには、地方内外問わず、幅広い視点からアドベンチャートラベルを推進する事業者の確保や育成が必要です。

リスク対策

アドベンチャートラベルは、一般的な旅行に比べると人里離れた場所への旅行やリスクの高いアクティビティを行うケースが多く、ケガや事故などのリスクが高い特徴があります。

リスク対策には、アドベンチャートラベル会社のオーナーやマネージャー、旅行客と関わるガイドの危機意識が必要です。

そのうえで、以下のような対策も必要となります。

  • リスクに関する事前説明の徹底
  • 契約書にリスクを明記
  • 免責同意書等の署名を得る
  • 参加者の保険加入
  • トラブル発生時の行動指針
  • ガイドの講習やトレーニング

また、アクティビティに由来するリスクだけでなく、自然災害や顧客同士、地域住民とのトラブル、病気など、さまざまなリスク管理が必要です。

まとめ

この記事では、アドベンチャートラベルの概要やメリット、実施に必要な要素などを紹介しました。

アドベンチャートラベルは「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3要素のうち、2つ以上を組み合わせた旅行形態のことで、インバウンド対策としても効果が期待されています。

地域経済の活性化や新しい客層の取り込みのために、地域の資源を活用したアドベンチャートラベルを検討してみてはいかがでしょうか。

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